【世界遺産探訪 #004】 万里の長城(中国)
2006年 04月 05日
現実には内陸のほうへ行くと、現地の住民が長城の壁などを削って持ち去り、それを売って生活の糧にしている人たちもおり、長城全体をできるだけありのまま保存する、というのは年々難しくなってきているようです。それでなくても、その大規模さゆえに風化などに対する保存が大変なのに、足元の住民が自ら遺産の価値を毀損しているというのは、何とも言いようがありません。
とは言っても、直に万里の長城を訪れてみると、やはりそのスケールの大きさに驚かずにはいられません。これだけの建造物を作るのに、どれだけの人たちが動員されたのか、作業がどれだけ大変だったか、他人事ながら、そしてはるか昔の出来事ながら、ついいらぬ心配をしてしまうほど、万里の長城の大きさは印象的でした。
僕自身はこれまで2度長城を訪れました。最初は2000年1月、そして2回目は2005年4月。最初は氷点下20度を超える厳しい寒さの中、みやげ物を売りに来る子どもたちを振り払いながらの見学でしたが、5年後の訪問では、そうした風景はほとんどなく、日本でも見かけるみやげ物屋が静かに軒を並べていました。こんなところにも、日に日に変化する中国の一端を垣間見たような気がします。
どこもそうですが、万里の長城は体力勝負です。歩いても、歩いても、キリがありません。それでも、長城の城壁に沿って歩く爽快さは格別です。また、長城から望む周囲の自然も、これが外敵の侵入を防ぐために作られたという建造当時の理由がかすれてしまうのど、のどかで雄大なものです。ケーブルカーもありますが、体力に余裕があれば、やはり是非最初から最後まで歩いて回りたいですね。
八達嶺の出口付近には、360度のパノラマ画面で万里の長城の解説ビデオを見ることができる、ちょっとしたシアターがあります。たしか中国語のみだったと思いますが、画面だけを見ていても、万里の長城のいろいろな顔を見ることができるので、ここはとてもお勧めです。ただ、入口付近にあるレストランでは、北京名物のジャージャー麺を出してくれるのですが、味もしょっぱいしぜんぜんおいしくないので要注意です。食事はできるだけ市内でとってくるか、見学後市内に行ってからにするのがよいと思います。