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在韓駐在員の現地リポート


by nazdravie
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【おもしろ韓国語講座 #041】 나이롱환자(偽装患者)

病院の近くの繁華街などに行くと、病院のロゴの入ったパジャマを着てウロウロしている患者さんをよく見かけます。すごい人になると、点滴を着けたまま歩いている人も。どの人も、どこが悪いのかわかりませんが、みんなすごく元気で、ピンピンしています。外科系の治療を受けているにしては、動きがあまりにも軽やかだし、内科系の疾患で入院しているにしては、とても食欲が旺盛です。

そんなギモンが解けたのは、数年前。会社の近くで後ろの車にオカマを掘られたときでした。横断歩道の近くだったので、そんなにスピードは出ていなかったんですが、それでも大きな音と衝撃がありました。念のため病院に行って、レントゲンとか撮ってもらうことになったんですが、そのとき病院の人が「少なくとも今日一日は入院してください」と言ってきました。

実際、腰がちょっと痛いなぁ、とは思いましたが、入院するほどのことでもなく、仕事もまだ残っていたので、とりあえず会社に帰りたい、と答えました。すると、「相手の保険会社の人が来るときにはベッドに寝ているほうがいいから、とりあえず外出中ということにしておけば」とご親切な(?)助言までしてくれたので、まあいいかと、一日だけ外出に見せかけた入院患者になることにしました。

はい、나이롱환자(ナイロンファンジャ)誕生の瞬間です(笑)。나이롱환자―나이롱(ナイロン)とは、字のとおり合成繊維のナイロン、환자(ファンジャ[患者])もこれまた、読んで字のごとく患者のこと、そのまま和訳すると「ナイロン患者」ということになります。でも、日本語ではこんな表現は使わないので、「偽装患者」あるいは「ニセ患者」とでも訳すのが、とりあえずいいのかな、と思います。

なぜ나이롱환자なのかはよくわかりませんが、ナイロンは繊維の中でも質が悪いので、「質の悪い患者」ということでこう呼ばれるようになった、と考えるのが自然な気がします。

韓国の保険制度がどうなっているのか、よくわかりませんが、どうやらこの国では入院していることを保険会社にアピールすることで、より多くの保険金をせしめることができるシステムになっているようです。だから、特に軽微な交通事故で入院している人たちは、ほとんどが保険金目当ての나이롱환자だといっても、言い過ぎではないかもしれません。

僕の場合、結局「外出中」にも保険会社は来なかったのですが、最初保険会社から数万ウォンと提示されていた保険金が、病院の事務長さんの「粋な計らい」(!)で、なぜか120万ウォンにまで跳ね上がっていました。韓国の慣習で、そのうちの10万ウォンくらいは、お世話になった病院の人(この場合は当然事務長)に払うことになっているそうで、僕も10万ウォンを事務長さんにお渡ししました。

何が理由で保険金がそんなに膨らんだのか、今もって謎なんですが、それもこれも、「入院していた」という事実があってこその「魔法」なのは間違いありません。ウーン、よくわからないけど、それでも何となく、나이롱환자がたくさんいるのがわかるような気もします^^:
by nazdravie | 2006-06-17 23:55 | おもしろ韓国語講座