【おもしろ韓国語講座 #048】 콩가루집안(崩壊家族)
2006年 11月 18日
ここ数年韓国のニュースや新聞などを見ていると、これまでの伝統的な「家族観」を変えるような出来事をよく目にします。カード代金の返済に困った父親が、息子のカードで借金を繰り返し、挙句の果てに一家そろって借金取りに追われることになった家族。優等生の兄と常に比較され続け、恨みと劣等感など、溜まりに溜まったいろんな感情が爆発して、父親を殺してしまった末息子-。
こんなふうに、道徳的、倫理的、社会的な家族の秩序が完全に崩壊してしまった家族を、韓国では「콩가루집안(コンガルジバン:崩壊家族)」といいます。콩가루(コンガル)とは「豆の粉」、つまり粉々に砕けた豆のことです。집안(ジバン)は、「家庭」です。「砕けた豆のようにバラバラになってしまった家庭=崩壊家族」、といったところでしょうか?
もちろん콩가루집안は、暴力や殺人といった、常にオドロオドロしいものが付きまとうわけじゃありません。
子どもの教育に多額の金をつぎ込み、果ては留学に送った子どもに母親がついて行き、韓国に残った父親は毎月仕送りをして、自分は毎日自炊で孤独な日々を過ごす……、といった「珍現象」も、今ではちっとも珍しくなくなりました。韓国では、こんな寂しいお父さんのことを「기러기아빠(ギロギアッパ)」と呼びます。기러기(ギロギ)は「雁」、아빠(アッパ)は「お父さん」。なぜ기러기なのか、詳しいことはよくわかりませんが、寂しげに空を飛ぶ雁の姿を、ひとり韓国に残った父親の姿をダブらせたのかもしれませんね。そして、こんなお父さんが一家の主にある家庭もまた、콩가루집안と言えるのではないでしょうか?
いずれにしても、콩가루집안は家父長的な伝統社会から、個人主義的な現代社会に急激に移行したことによって生まれた「副産物」なのかもしれませんね。