在韓駐在員の現地リポート


by nazdravie
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ハイフン戦争(Pomlčková vojna)

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スロバキアに住む友だちから、1枚のDVDが送られてきました。タイトルは「Na skle maľované」。意味はわかりませんが、内容はスロバキアに昔から伝わる伝説の義賊、ユライ・ヤノシークを描いたミュージカル。昨夏スロバキアを旅行したときに探したんですが、見つからなかったので、この友だちに頼んでおいたんです。時間はかなり立ってしまいましたが、何とかGETに成功です!

このユライ・ヤノシークという人は、いちおう1688年に生まれて1713年に亡くなったということになっていますが、実際に実在した人物なのかは、定かではありません(ていうか、僕が知らないだけ?)。まぁ、「スロバキアのロビンフッド」と呼ばれることからも、何となく推察はつくかと思いますが、お金持ちから金品を強奪し、それを貧しい人たちに分け与えるという、言ってみれば「弱者の味方」です。日本で言うと、鼠小僧?

内容のほうですが、写真を見てもわかるとおり、かなり時代を感じさせてくれます。チェコスロバキア時代、1980年に製作されたもので、社会主義国家らしい、無機質で味気ない舞台と、どこか空疎で笑える俳優たちの演技が、妙にマッチしていて楽しめます。もちろん、劇中で話されている内容については、まったくわかりませんが(汗)。最後まで見ていませんが、言い伝えのとおりだと、ヤノシークが捕らえられて、処刑されてジ・エンド、なんでしょうね。

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さて、タイトルが「ハイフン戦争」なのに、話がかなり遠回りしてしまいました。

この映画が作られた時代はチェコスロバキア、という話をしましたが、今はチェコとスロバキアというふたつの国に分かれています。流血や紛争もなく、円満に分離独立がなされたことから、「ビロード離婚」などとも言われていますが、この「離婚」の発端となったのが、他でもない「ハイフン戦争」なんです。

社会主義が崩壊した後、チェコスロバキアでは「社会主義」という単語を抜いた国名にすることにしました。ところが、チェコスロバキア(Československo)という名称に、スロバキア人からクレームが入ってきました。チェコ(Česko)とスロバキア(slovensko)の間に、ハイフンを入れる(チェコ-スロバキア:Česko-slovensko)よう、スロバキア側が求めたんです。「チェコとスロバキアはそれぞれ対等な連邦国家なんだ」ということを、スロバキア人は示したかったんでしょうね。

ところが、実質的に国を支配していたのはチェコ人たちで、彼らはこの要求を拒否、結局チェコ語ではハイフンなしのチェコスロバキア(Československo)、スロバキア語ではチェコ-スロバキア(Česko-Slovensko)にするという、苦肉の策がとられたわけです。が、これがあまりしっくりこなかったようで、最終的にチェコとスロバキア(Česko a Slovensko)とすることで決着することになりました。

このハイフンの是非から始まった論争は、次第に国のあり方についての議論へとだんだん大きくなっていき、結局はお互いが別の道を歩もう、ということになり、1993年の「ビロード離婚」を経て、チェコ(Česko)スロバキア(Slovensko)に分離されるに至ったわけです。

たかがハイフン、されどハイフン。第三者にはどうでもいいことですが、当事者、特にハンガリーに数百年ものあいだ支配され、チェコとの連邦でもチェコ人の後塵を拝していたスロバキア人にとっては、とても重要な問題だったわけです。

そういえば、2002年のサッカーW杯のとき、韓国側がアルファベット順の「Japan-Korea」を嫌い、「Korea-Japan」にするよう要求し、結局決勝戦を日本でおこなうことを条件に、「韓日ワールドカップ」になった、ということがありましたよね。「たかが呼称」ですが、それも時と場合によっては、「されど呼称」、ということです(笑)。

何か、面白くない話を長々と書いてしまいましたが、要はユライ・ヤノシークのDVDがチェコスロバキア時代に作られたってとこから、ハイフン戦争のことを思い出して、ちょっと知ったげに(!)書いてみました^^
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by nazdravie | 2007-04-19 22:39 | いろいろ