在韓駐在員の現地リポート


by nazdravie
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

事実は小説よりも奇なり 2

さて、前回の続きです。
まずは今回の人物とシーンについて、整理しておきます。

人物

○父親:韓国の大財閥・韓火(ハンファ)グループのキム・スンヨン会長。
○息子:キム会長の次男で、エール大学在学中のキム・ドンウォン。
○飲み屋の喧嘩相手:ナイトクラブの専務、ユン某。
○ナイトクラブ関係者:ユン某が勤めるナイトクラブの社長、幹部、従業員。
○ソウル警察:今回の事件を担当する警察官
○弁護団:父親を弁護するため集められた精鋭弁護団

場所

○シーン4:ソウル南大門警察署
○シーン5:父親の邸宅
○シーン6:父親が会長を勤める韓火グループ本社

【シーン4】
南大門警察署から任意出頭を求められた父親は、2度これを拒否。理由は「精神的なショックが大きい」「疲れている」などなど。口裏あわせや証拠隠滅のための時間稼ぎと思われますが、初動捜査の遅れを批判され、世間の批判を一身に浴びる警察は、名誉挽回のためタイムリミットを定め、期限までに出頭しない場合は逮捕令状を出すと、父親側に圧力をかけます。結局父親は渋々南大門警察署へ向かいました。

ところがここで警察にとって誤算が。当事者のひとりである息子が、交換留学中のソウル大学の考古学チームのフィールドワークで前日に中国へ出国(註:彼はエール大学の学生なので、エール大学からの交換留学生として、ソウル大学に来ています)。被疑者の身元管理すらできていないと、警察はまたもや批判の矢面に立たされます。エラー続きの警察、ここで父親の自供を引き出して、一発逆転タイムリー!といきたいところでしたが、「知らぬ、存ぜず」の一点張りで、結局これといった収穫はありませんでした。彼の口から聞けたことと言えば、「ナイトクラブには行ったが、和解をしに行っただけで、暴力はふるっていない」ということだけ。

海外逃亡かと思われた息子ですが、調査の結果このフィールドワークは以前から予定されていたことが判明。数日後、息子が帰国し、南大門警察署に出頭します。息子はすでに韓火関係者と口裏合わせのリハーサルを終えていたのか、警察の質問には、父親と同じく「知らぬ、存ぜず」の一点張り。署内での事情徴収は、結局空振りに終わってしまいます。

息子を殴った相手に会いにナイトクラブに行き、一方は殴ってないといい、一方は実際に多数の人間が大怪我を……。「大怪我をした被害者はたくさんいるのに、彼らを殴った加害者がいない?」という、まったく摩訶不思議な状況になってきました。真実はひとつ。どちらかが嘘をついているわけです。

でも、大怪我をした人が、嘘をつくために自分で、あるいは仲間うちで殴り合いなどするでしょうか?というのはさて置き(笑)。

【シーン5】
プライドをズタズタにされた警察は、遅まきながら父親の邸宅を家宅捜索することにしました。父親はすでに会社の法務室を中心に、検事出身の敏腕弁護士で固めた精鋭軍団を作り、徹底抗戦の構えです。

ここまでケチョンケチョンにやられっぱなしの警察。「今度こそは!」と張り切って家宅捜索に向かいましたが、邸宅前で待ち構えていたのは韓火の社員と弁護団、それに大勢の報道陣。何と、家宅捜索の情報が、10時間以上も前に漏れていたのです。邸宅のCCTVカメラも、何故か事件当日は故障中だったようで、車が出入りする映像は残ってなかったとのこと。
ソウル警察、度重なる失敗に、マスコミからは「笑えないコメディ」と皮肉られる始末。

この日はさらに韓火グループ本社を家宅捜索する予定でしたが、「この日はメーデーだから」という、意味不明な(!)な理由で、翌日に延期。ソウル警察、本当にやる気があるのか、だんだん怪しくなってきました。

【シーン6】
ナイトクラブのCCTVや車のナビゲーションや携帯のGPSなどから、何とか物証を得ようと努力するソウル警察。しかしナイトクラブのCCTVは故障中、GPSからの割り出しも不透明なままで、いよいよ焦りの色が隠せなくなってきました。昨日延期したグループ本社の家宅捜索のため、捜査陣は朝、報道陣の待ち構える正門ではなく、地下の階段から中に入っていきました。「今回は情報が漏れなかっただろ!」と、得意気な顔が目に浮かびます。

しかし、ここでもこれといった収穫はなかったようで、警察はいよいよ瀬戸際に追い詰められました。マスコミでは「ソウル警察 vs 韓火弁護団」などという挑発的なタイトルが踊る中、ソウル警察はいよいよ崖っぷちに立たされました。

そんなとき、新たな事実が警察の一縷の望みをつなげました。ナイトクラブ側が、報復などを恐れてCCTVの録画ディスクを隠していたというのです。録画はだいたい15日分は収録できるとのこと。果たして、ここに決定的瞬間は残っていたのでしょうか!?

-次回に続く-

註:上記はあくまで、現在までの状況をマスコミ報道をもとに整理したものです。現在進行中の事件なので、事実関係は警察発表や報道資料でご確認ください☆

事実は小説よりも奇なり 1
事実は小説よりも奇なり 3
[PR]
by nazdravie | 2007-05-05 01:19 | いろいろ