【世界遺産探訪 #005】 原爆ドーム(日本)
2006年 05月 27日
原爆ドームは、平和公園のすぐそば、元安川のほとりにあるんですが、もともとはチェコ人のヤン・レッツェルという建築家によって建てられた、広島県物産陳列館というもの。これが1945年8月15日に投下された原子爆弾によって破壊され、今の形に成り果ててしまったわけです。当たり前の話ですが、「原爆ドーム」という名前は、後からつけられたわけです。
この原爆ドームのある平和公園一帯は、広島の緑のオアシス的な役割をしていて、朝から夕方まで、観光客だけでなく、公園を散策する市民の姿を多く見かけます。コンクリート・ジャングルなんて言われる大阪の人間からすると、ちょっと羨ましいですね。
平和公園は、文字どおり平和について考えるにはうってつけの場所です。公園のあちこちにいろんなモニュメントがあって、それぞれに原爆にまつわるストーリーがあるので、なかなか勉強になります。その中でも特に有名なのは、なんと言っても「原爆の子の像」です。折り紙で鶴を千羽折れば病が直ると信じて折鶴を作り続け、ついに目標の1000羽になる前に命がつきた、というエピソードはあまりにも有名です。僕も小学生のときの修学旅行でここを訪れ、千羽鶴を置いた記憶があります。
あと、韓国がらみで言うと、在日韓国人の被爆者慰霊碑も、紆余曲折を経て、ようやく平和公園の中に移設されました。詳しいことはよくわかりませんが、もともと韓国人慰霊碑は、公園のすぐ外側に建てられており、以前から公園内への移設が言われてきましたが、韓国系の在日と北朝鮮系の在日の人のあいだで意見に一致をみず、なかなか実現しなかったそうです。そんなエピソードも、原爆が落とされた当時と、その後の日本の社会を今に伝える貴重な「記憶」です。
原爆ドームをカメラに収めるとき、どのアングルにしようか迷ってしまいますが、僕としては、元安川を挟んだ川辺からのポイントと、平和記念館前の原爆死没者慰霊碑(アーチ状のもの)の中に見える原爆ドームが、お勧めです。
原爆ドームや平和記念資料館などというと、どこか堅苦しいイメージがあるかもしれません。もちろん、それを見ずにここを去るわけには行きませんが、都会のオアシスとして、広島市民に愛されている平和公園も、平和な日本を今さらながらに実感させてくれる、もうひとつの風景です。